ベトナムEV市場で挑むホンダの逆襲(2)――EVバイクは「学生の足」か、それとも「タクシーインフラ」か

テクノロジー

EVバイク市場の急速な広がり

ベトナムのバイク市場はいま、ゆっくりと、しかし確実に電動化へと向かっている。
ハノイでは今年7月からのガソリンバイク規制が議論され、都市部では「次はEVバイクを買う」という声も増えてきた。

この市場で先行しているのは、ベトナム企業のVinFastだ。
EV専業メーカーとして急速に存在感を高め、街では緑色のEVバイクタクシーが目立つようになった。

一方で、長年ベトナムのバイク市場を支配してきたホンダは、EV市場ではやや慎重な姿勢を取っている。
しかしその裏側では、新しいEVモデルの投入準備が静かに進んでいる。


ホンダが登録した2つの新EV


Honda Dax e:
 ペダルがついている
Honda Zoomer e: ペダルがついている

ベトナムの知的財産公報によると、ホンダは最近、2つの電動バイクのデザイン登録を行った。

登録されたのは

  • Honda Zoomer e:
  • Honda Dax e:

の2モデルである。

これらは中国市場ではすでに販売されている電動バイクで、ホンダの人気モデルのデザインをEVとして再構成したものだ。

性能は比較的シンプルで

  • 最高速度:約25km/h
  • 取り外し式バッテリー
  • 充電時間:約6時間

という仕様になっている。

つまりこれは、高速バイクではなく、
都市の短距離移動向けEVである。


EVバイク市場の「学生モデル」

このスペックを見ると、ターゲットが見えてくる。

それは学生市場だ。

ベトナムでは高校生や大学生がバイクで通学するのは珍しくない。
ただし未成年は大型バイクに乗れないため、

  • 電動自転車
  • 低速EVバイク

が主な移動手段になる。

この市場では中国系メーカーや地元メーカーがすでに多くの製品を販売している。

ホンダがZoomer e:やDax e:のような低速EVを投入するのは、
EV市場の若年層市場を取り戻す戦略とも見える。


もう一つのEV市場「バイクタクシー」

しかし、ベトナムのEV市場にはもう一つの巨大市場がある。

それが
バイクタクシー市場だ。

ホーチミン市やハノイでは

  • Grab
  • Be
  • Xanh SM

などのバイクタクシーが都市交通の重要な一部になっている。

特にVinFastは、自社のEVバイクを使ったタクシー会社「Xanh SM」を展開し、EVを一気に街に広げた。

つまりVinFastは

EVバイク
→ タクシー
→ 市場普及

というモデルを作っている。

EVを単なる乗り物ではなく、都市インフラとして広げているのだ。


ホンダはどちらを狙うのか

ホンダのEV戦略は、現時点ではまだ完全には見えていない。

しかし

  • UC3
  • ICON e:
  • CUV e:
  • Zoomer e:
  • Dax e:

といったモデルを見ると、個人ユーザー市場を重視している可能性が高い。

特にホンダが強いのは

  • 耐久性
  • メンテナンス
  • ブランド信頼

といった「日本品質」である。

ベトナムではいまでも「ホンダは壊れない」という言葉が、ブランドの代名詞になっている。

そして私もホンダのバイクに乗っているが、実際に壊れないのだ。

バイク市場王者の復活

ベトナムの街には、今も何百万台ものホンダのバイクが走っている。

その圧倒的な信頼は、数十年かけて築かれたものだ。

EV時代になっても、この「日本品質」のブランドは通用するのか。
それとも、新しいEV企業が主役の座を奪うのか。

ベトナムのEVバイク市場は、いま静かに

「バイク王ホンダの第二幕」が始まる瞬間を迎えている。

▪️ベトナムのEV市場に挑むホンダの逆襲(1)もお読みください。
ベトナムEV市場で挑むホンダの逆襲(1) ――制度変更で揺れる市場で、「日本品質」は信頼を保てるか? Newsweek日本版 world Voice

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