大阪メトロ花園町駅から歩いて3分。夕暮れの鶴見橋商店街を抜けた先、赤いランタンが灯る小さな店がある。
その名も「DA NANG(ダナン)」。ドアを開けた瞬間、ふわりと広がる魚醤の香りに、ベトナムの記憶が蘇る。
ベトナムの路地裏を思わせる店内
店内はわずか30席ほど。壁に吊るされたランタンの光がゆらぎ、スピーカーからはベトナム歌謡が流れる。ダナン出身の女性が日本語で「いらっしゃいませ」と微笑む姿に、ベトナムの路地裏で感じたあの“人懐っこさ”が重なる。
「ブンボーフエ」との再会

注文したのは「ブンボーフエ(Bún bò Huế)」。
透き通ったスープの上には、レタス、もやし、牛すじ、そして少しの辛味ペースト。
そこへ別皿にあるレタス、もやしを乗せ、レモンを絞り、酢ニンニクを入れ混ぜてから食べる。
ベトナムの古都フエの名物でありながら、日本ではまだほとんど知られていない料理だ。
“静かな熱”が宿るスープ
スープをひと口すすると、まず感じるのは“静かな熱”だ。
辛さよりも香りが先に立ち、牛の旨味と魚醤の塩気が舌の奥で重なっていく。
これは、暑い国の料理でありながら、どこか冬に恋しくなる味だ。
細麺に宿るフエの気配
麺はブンと呼ばれる米粉麺で、フォーよりも細い、コシがある。
しかしこの店のブンはフエのブンの特徴で普通のブンより細麺なのだ。
スープが絡むたびに、香辛料の層が口の中で変化していく。
箸を進めるごとに、ベトナム中部特有の“複雑なやさしさ”がにじみ出てくる。
辛さの奥にある優しさ、それがベトナム料理の真骨頂だ。
下町に流れるベトナムの時間
後ろのテーブルでは、日本人とベトナム人の若者たちが談笑していた。
隣のテーブルにはベトナム人女性とその2才ほどの娘が同じくブンボーフエを食べている。
彼らの笑い声を聞きながら、私はふと感じた。
この一杯は、単なる「料理」ではなく、遠い国の記憶を呼び起こす“物語”だと。
大阪の下町で、ベトナムの時間が静かに流れている。
ベトナムの余韻が残る場所
食べ終えて外に出ると、秋風が肌を撫でた。
「DA NANG」は、大阪にいながらベトナムの余韻を感じられる、そんな不思議な場所だ。
日本とベトナムの“物語の往復”が、今日もこの小さな店で静かに続いている。
DA NANG 住所・地図・営業時間・電話番号
住所
大阪府大阪市西成区鶴見橋1丁目1−7 プラザ志ビル27(花園3)
地図 Google マップ
営業時間
- 月曜日
- 10:00 – 23:00
- 火曜日
- 10:00 – 23:00
- 水曜日
- 10:00 – 23:00
- 木曜日
- 10:00 – 23:00
- 金曜日
- 10:00 – 23:00
- 土曜日
- 10:00 – 23:00
- 日曜日
- 10:00 – 23:00
電話番号
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